「あかねちゃん、いる?」
「詩紋くん!わぁ、なんかいい香りがするけど・・・どうしたの?」


ボクは笑って、後ろに隠していた包みをあかねちゃんの目の前で広げてみるんだ。


「これ、さっき作ってみたんだけど・・・あかねちゃんに食べてもらえたらうれしいな」
「ホント!?いいの、詩紋くん?いっただっきまーす!!」


「・・・ど、どうかな?」
ちょっと心配になって、あかねちゃんの顔を覗きこんでみる。

「お・・・・・・」
「お?」
「おいしいっ!すっごくおいしいよ、詩紋くん!!」


あかねちゃんの笑顔を見ていると、自然とボクも笑顔になる。
もしかして、その笑顔には何か不思議な力があるのかな?


「・・・あ、でも詩紋くんや他のみんなの分は残しておかなきゃね」
「それなら大丈夫!まだみんなの分はたくさん残してあるから、
  あとでみんなのところへ一緒に配りに行こうよ」
「そうだね。こんなにおいしいんだもん、きっとみんな喜んでくれるよ」



なんて話していたら・・・



「よ、あかね!さっきそこの部屋ですっげーうまいもん見つけたんだけど・・・」

「あーっ!!イノリくん、それってもしかして・・・」
「なんだ、あかねももう食ってたのかよ。詩紋、お前も食うか?」

「そ、それは・・・」

「イノリくん!それは詩紋くんがみんなのために、って作ってくれたお菓子だったの!!」
「そ、そうだったのかよ!?・・・・・・悪りぃ、詩紋・・・」

「ううん、いいよ。イノリくんにおいしいって言ってもらえてうれしかったし、
それに、クッキーならまたいつでも焼けるから・・・」
「勝手に食っちまうなんて・・・ホント悪かった!」
「気にしないで、イノリくん。
  それよりも、よかったらまたこの世界のこと教えてくれないかな?」
「それなら任せとけって!
いつでもこの京を案内してやるからさ。なんでも聞いてくれよ!じゃあな」


イノリくんに喜んでもらえたのはよかったんだけど・・・


「・・・結局、残ったのはこれだけみたい、だね・・・」
「いいよ、全部あかねちゃんにあげる。食べて食べて!」
「う〜ん・・・じゃあ、2人で半分こにしようよ!」


「あかねちゃん・・・ありがとう」

そんなあかねちゃんの優しさに、心がふっと温かくなるんだ。


ねぇ、あなたは気づいてる?


その優しさが、その温かさが、今のボクを支えていること。

「ねぇ、詩紋くん。今度は私もお手伝いさせてもらってもいいかな?」
「もちろんいいよ!
  あかねちゃんと一緒なら、きっとすごくおいしいお菓子ができると思うんだ」

ボクにどれだけのことができるかわからないけど・・・

あかねちゃんの笑顔を守りたい。
そのために、もっともっと強くなりたい。


あなたと一緒なら、きっとできるから。


「・・・あかねちゃん」
「ん?どうしたの、詩紋くん?」


「これからも、一緒に頑張ろうね!」







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書いている自分ですらかなりビックリしています。
自分が詩紋くんの創作を書いていることに。
ここは「友あか」サイトじゃないのか!?というご意見もごもっともで・・・すみません。
なんといいますか、
どんどんいろんなところに触手が伸びてきていますね。
結局何が書きたいんだ、自分。


―2005.3.25―



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