カタン、カタン・・・



電車の窓から、少しだけ差し込む夕日。
そしておれの隣の席には、香穂ちゃんがいる。


「今日はすごく楽しかったです!」
「おれもすっごく楽しかったよ〜。
  たまには遠出もいいかもね。気分転換にもなるし」



『いつもとは違うところに行ってみよう』という香穂ちゃんの提案で、
おれたち二人は、電車に乗って出かけた。
見慣れないお店に入ったり、海の見える公園を一緒に歩いたり、
そこで見つけた屋台で、ホットドッグを半分こしたり。
一日中、めいっぱい香穂ちゃんと過ごしたんだ。



「でもさ、香穂ちゃんってば・・・
  おれがショップの店員さんにいろいろ勧められて困ってた時、
  後ろで笑ってて助けてくれなかったでしょ?」
「だって・・・先輩の困った顔が、ちょっと可愛くて」


そう言って、微笑む香穂ちゃん。


「かっ、可愛かったって・・・
  これでもきみの先輩なんだけど!」
「勿論わかってますよ。和樹先輩?」
「もう・・・また揶揄ってる!でも・・・さ」


おれは勇気をふりしぼって、なんとか言葉に出してみる。


「その・・・あの、えっと・・・
  やっぱり可愛いって言うなら、かっ、香穂ちゃんの方が・・・!!」



「・・・・・・」
「かほ、ちゃん・・・?」




隣から、すやすやと穏やかな寝息が聞こえてくる。
もしかして・・・疲れて寝ちゃったのかも。


「あったかい、な」


もたれかかってくる肩から、きみの体温が伝わってくる。
やわらかくって・・・すごく、しあわせ。


なんだか安心できるのは、やっぱりきみだからかな。



駅に着くまで、
もう少し・・・このままでいてもいいよね?






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






「・・・んぱい、先輩!起きてください火原先輩っ!
  次の駅で降りますよ。置いて行っちゃいますよ〜?」


肩を揺すっても、起きる気配の無い先輩。
気持ち良さそうに、私の肩にもたれ掛かっている。


「ん・・・か、ほちゃん・・・」
「あ!もう、先輩やっと起き」
「かほちゃん・・・・・・だいすき」
「!!!」


他にもお客さんが居るのに、
私は自分の頬が熱くなるのを、止められなかった。



だって、先輩の寝顔があまりに幸せそうだったから。
なかなか聞かせてくれない言葉を、聞かせてくれたから。
それが私にとって、とても幸せだったから。



(・・・いいか、直前まで寝かせてあげよう)



駅に着く、ギリギリまで。
私は温かな火原先輩に、寄りかかった。









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火原先輩のキャラソンの「if」を聞いていると、
彼の話が無性に書きたくなるのは仕様ですか。
しかもデートとかの甘い話が・・・ね。
こうしてどんどん増えていく火原×香穂子。
もしかして、自分でも無意識のうちに、
火原>土浦になってるのかもしれないなぁ。
結局、この二人は無事に家に帰れたんですかね・・・心配。



―2009.11.27―


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