タトエバキミガイルダケデ。
ただ君を待っている時間が、こんなにも愛しい。



「せんぱーい!」
「あ、香穂ちゃん!こっちこっち」


おれを見つけて、走ってきてくる香穂ちゃん。
いつも制服だから、普段着ってちょっと新鮮、かも。


「・・・す、すみま、せん・・・お待たせ、しました、よね・・・」
「ううん、そんなことないよ!だってまだ10分前だもん」
「あれ、じゃあ・・・先輩は、いつからここに?」
「・・・へ?おれはいちじかん・・・」




・・・・・・・・・・・・あ。




「いっ、1時間って!?」
「・・・・・・ごめん香穂ちゃん!!
  実はおれ、今朝すごく早く目が覚めちゃってさ・・・
  うちにいてもなんか落ち着かなくて、それで・・・」
「ふふっ、なんか先輩らしいです!
  それだけ、今日を楽しみにしていたってことですよね。
  じゃあ今日はめいっぱい遊んじゃいましょう!」












タトエバキミガイルダケデ。
クレープはなによりのごちそうになる。



「香穂ちゃんのイチゴもすごくおいしそうだね〜」
「はい!イチゴの甘酸っぱさが良いアクセントになってます」
「う〜ん・・・おれもイチゴにすればよかったかな〜」


・・・・・・すると突然、目の前に差し出されるもうひとつのクレープ。



「先輩、よかったら一口どうぞ!」



えぇっ、こ、これって、間接・・・!?
でもでも、香穂ちゃんがせっかく言ってくれたのを断れるわけないし!!







ぱくっ。




「・・・・・・うん、すっごくおいしいよ香穂ちゃん!」
「そうですか?よかったぁ〜」


その一口のクレープは、とびっきり甘くて。
すごくすごく幸せだなぁって、思うんだ。












タトエバキミガイルダケデ。
お揃いは、二人の大切な思い出になる。



「あ、見てください先輩!あのストラップ、可愛くないですか?」
「へぇ〜、ヴァイオリンの形なんだね。香穂ちゃんにピッタリだよ!」
「う〜んどうしよう・・・買っちゃおうかな〜」


なんか香穂ちゃん、迷ってるみたい。
こんなとき、おれにできることは・・・・・・



「香穂ちゃん、ちょっとここで待っててね!」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「ありがとうございました〜」



店員さんの声を背中に、おれは急いで香穂ちゃんの元に戻る。
さっき買ったばかりの包みを、大切に大切に抱えて。



「お待たせ!はい、香穂ちゃんにプレゼント〜」



「えっ、これって・・・」
「さっき香穂ちゃんが可愛いって言ってたストラップ!
  今日の記念に、おれからプレゼントさせてもらえないかな?」
「で、でも・・・いいんですか、私だけ・・・」
「もちろん!だって・・・・・・ほら」


おれの手には、もうひとつのストラップ。


「香穂ちゃんにはヴァイオリン。おれにはトランペット!
  ・・・ね、ピッタリでしょ?」
「はいっ、ありがとうございます!
  これで、先輩とお揃いですね。大切にします」




「お揃い」、ってなんかくすぐったい感じ。
おれはきっとこのストラップを見るたび、心がくすぐったくて・・・あったかくなるんだろうな。












タトエバキミガイルダケデ。
「また明日」―――その言葉が、ひどく寂しい。



「・・・どうしたんですか、先輩?」
「え、あ、ううん・・・なんでもないよ」


香穂ちゃんのおうちの前まで送ってきたのに。
なんだか、離れたくなくて。
「また明日」って、なかなか言い出せない。
・・・なんか、わがままな子供みたい。


「先輩、今日は本当に楽しかったです。ありがとうございました!」
「・・・・・・うん」
「・・・よかったら、また来週も、お出かけしませんか?」
「・・・・・・うん・・・・・・って、え、来週!?」
「ダメ、ですか?もう予定が入ってるとか・・・」


それって、来週もこんなふうに・・・
香穂ちゃんとずっと一緒にいられるってこと、だよね?


「ももももちろんだよ!おれといっしょでよかったら、来週も!!」
「・・・じゃあ、約束ですよ?」


そう言って、香穂ちゃんはおれの手をとって小指をからめる。
「指きりげんまん〜♪」と歌う顔は、すごくうれしそう。



「それじゃあ、おやすみなさい、先輩!」
「うん、おやすみ・・・・・・また明日ね、香穂ちゃん」







・・・ねぇ、来週はどこに行こうか?
なんて、本当はもう決まっているんだ。
どこへ行ったとしても・・・きっとおれは、ただ君がいるだけで幸せだから。








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気がつくと火原のお話が増えているというミステリー。
いや、もちろんいいんですよ、火原好きですし!
でも・・・土浦スキーとしては、微妙なんですよ、ね・・・
「なぜ本命の土浦が増やせないのか?」・・・と。
よし、次は土浦きみにきめた!(←そんなポ○モンみたいな宣言)

ちなみに、火原のセリフは意識的に平仮名を多めにしています。
火原って、ゲーム中でも実際にセリフ中の平仮名って多い気が・・・。
あ〜なんかコルダやりたい・・・思い出すとプレイしたくなりますな。


―2007.08.17―


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