「じゃあ、呼び捨てにしてください!」


それは、思ってもなかったお願い。
え、あ、いや、でも、それって・・・・・・


「・・・だめですか、和樹先輩・・・?」


だめとか、そういうのじゃなくって!!
・・・うぅっ、そ、そんな顔でお願いされても・・・


「だって、やっぱり・・・・・・・・・・・・照れるじゃないか」




ありったけの勇気を振り絞って、なんとかその名前を口にしてみる。







「っ、か・・・・・・・・・・・・香穂子」




その瞬間、かぁぁぁっと顔が熱くなっていく。
きっとおれ、顔だけじゃなくて耳まで全部真っ赤だよ・・・!!



「おっ、おれ、ちゃんと練習するから!たぶん大丈夫だからっ!!」















・・・・・・なんて言ってみたものの。


「一体何が『大丈夫』だよ、まったく・・・」



家に帰ってからも、ずっと彼女の「お願い」のことばかり考えていた。



「今までずっと『香穂子ちゃん』だったもんなぁ」


他の誰でもない、彼女のお願いだからこそ、
できれば聞いてあげたい。
おれのできることなら、なんでも叶えてあげたい。




・・・・・・けど。



「だいたい呼び捨てなんて・・・なんか新婚さんみたいだし」












・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?新婚!?



「なななななにいってんだおれ!!」





本日2度目のゆでだこ状態。顔だけがひどく熱い。

やばい、今日はなんか・・・眠れそうにない、かも・・・・・・










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「おはようございます、和樹先輩!」


いつもの朝、いつものようにきみの家まで迎えに行って。



「おおおおはよう、香穂子・・・・・・・・・・・ちゃん」




・・・・・・やっぱりだめだった。昨日あれだけ練習したのに!!




「・・・ふふっ、昨日は無理言ってごめんなさい。
  ほんの少し、先輩の困った顔が見たくて・・・お願いしちゃいました。
  やっぱり、今まで通り普通に呼んでください。

  それじゃあ、行きましょう、先輩!」



そう言って、きみはおれを置いて歩き始めてしまう。






「・・・・・・待って!」




きみが笑顔でくるりと振り向く。






「手を繋いで行こう・・・香穂子」





まだまだ練習不足だけど、
きっと・・・ううん、絶対ちゃんと呼べるようになるから。



きみのきれいな名前が大好きだから。きみのことが、大好きだから。









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まずは主張させてください。

火原先輩の呼び名変更イベント2は「新婚さん」ですよね!?

「呼び捨てがいい」を選んだときの、
あの火原先輩の反応の可愛いこと可愛いこと!!
勝手に「新婚イベント」なんて呼んでしまう始末。
さらに文章まで書いてしまう始末!!
ちなみに、火原先輩の呼び名変更イベントはこれで2つ目です。
前回と同じようなネタで申し訳ない、です・・・・・・。


―2007.02.11―


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