「しかし・・・」
「まぁ、受け取ってくださらないんですの?」
「私一人が受け取っては、陛下と守護聖の間の礼を失した行為になってしまう」
「女性からの贈り物を突き返すことこそ、礼を失しているのではなくて?」
「それも一理あるが・・・」



「そもそもッ!」


バンッ!と机を叩き、身を乗り出して話し始めるロザリア。
その気迫に、ジュリアスは若干押され気味になってしまう。



「これは、陛下から守護聖への感謝の気持ちでもあるのです。
  普段、なかなか形にしにくい感謝の気持ちを、
  こうして贈り物にされただけですのよ?」
「あ、あぁ・・・」
「その気持ちを突き返すことが、首座の守護聖のすることですの?」
「そんなこと、は・・・」
「何より、先程『私一人が受け取っては』とおっしゃいましたわね?
  その点についてはご心配なく。
  これは守護聖全員に、お一人ずつお渡ししているものですから」
「なるほど・・・」
「これでもまだ、受け取ってくださらないと?」



その時、ロザリアの気迫が一層増したのは、
ジュリアスの気のせいではない・・・・・・はず。



「ならば、いただくことにしよう。陛下にはお礼の言葉を伝えて欲しい」
「ええ必ず。受け取っていただけて、陛下もさぞお喜びになりますわ」
「それにしてもロザリア・・・
  そなた、女王候補時代に比べ、性格が変わ・・・」



「何かおっしゃいまして?」




ロザリアの満面の笑みは、無敵だった。










〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜









「『守護聖全員に』って言わないと、
  ジュリアスは、受け取ってくれないんですもの」
「確かに・・・そういうことには厳しい方ね。
  でもアンジェリーク、私邸で渡せば宜しいのではなくて?
  あなた達、一緒に暮らしているのに」
「それでもダメなの。前のジュリアスのお誕生日のプレゼントだって、
  『受け取れない』って突き返されてしまったのよ!?」


「信じられない!」と頬を膨らませるリモージュ。


「今回のチョコはせっかく手作りにしたのに・・・
  見つからないようにするもの大変だったの!」
「まぁ・・・そういう方なのだから・・・」
「でもロザリア・・・本当にありがとう!」
「これくらいいいのよ。最近はきちんと公務も滞りなくこなしていたのですもの。
  あなたが今日のためにどれだけ頑張っていたか、私は知っているから」


そう、この日の為にリモージュはいつも以上の頑張りを見せ、
なんとかして空いた時間を見つけては、
ジュリアスに渡す手作りチョコレートを作っていたのだった。


「この切り傷だらけの指と、そして私が何よりの証明よ」
「ロザリア・・・大大大大大好きっ!!」
「ちょ、ちょっとアンジェリーク!」



あまりの勢いでリモージュがロザリアに抱きついた結果、
二人はバランスを崩し、ロザリアの持っていた資料はバラバラに・・・






結局、リモージュはロザリアから追加の仕事を増やされたとか、そうでないとか。









======================================


突発的に作ってしまったバレンタイン創作その壱。
お気に召していただけたでしょうか?
しかし自分でもわからない。
何故今ジュリリモなのか。
いえいえそれよりも。
「リモージュって、ジュリアス様よりもロザリアの方が仲良さそうだよね」
というツッコミが聞こえてきそうです。
しかも「ジュリリモ」なのに、ジュリアス様とリモージュの会話が一切ないという罠。
ほん、とうにすみ、ま、せ・・・



―2009.02.14―


「なんちゃって創作部屋」に戻ります